麻疹(ましん)の脅威|磐田市の内科・小児科|三上内科小児科医院

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麻疹(ましん)の脅威

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国内での麻疹(ましん)の発生報告が続き話題となっています。

海外での流行があり、国際線の乗客から感染が拡大していると思われます。

麻疹は別名「はしか」と言い、近い過去には2001年にも国内で大きな流行がありました。

麻疹は麻疹ウイルスによる感染症で、10日程度の潜伏期間を経て発熱、咳、鼻水、結膜炎などの風邪症状が出現し、2~4日続いたのちに特徴的な発疹が全身に広がる病気です。



発熱は39℃以上が1~2週間以上続く場合もあり、肺炎、脳炎を合併することもある非常に強い感染症です。

江戸時代には「はしかは命定め」とも言われ、発症すると命が決まると言われるくらい致死率が高く、1回の流行で感染者の7%から25%が亡くなったとのことです。1862年の流行では24万人が亡くなったとの記録があります。

医学が進歩した現代でも感染者の1000人に1人が命を落とす可能性があります。

症状が強いだけでなく、水ぼうそうや結核と同じ「空気感染(飛沫核感染)」という感染経路をとり、非常に伝染しやすい病気となります。

インフルエンザやコロナウイルスは基本的には「飛沫感染」で、咳やくしゃみの飛沫を直接浴びなければ感染する可能性は低い感染症です。

一方、麻疹は「空気感染」であるため、感染者の飛沫により対外に出たウイルスがしばらく空気中を漂い、それを吸い込んでしまうことで感染してしまいます。


バスや電車の同じ車両内で感染者と離れて接触がなくても、免疫力を持っていなければほぼ100%の確率で感染、発症すると考えられます。


麻疹ウイルスに対する特効薬、治療薬はなく、ワクチンによる予防が最も重要です。

1回の接種で95%以上、2回の接種で99%以上の確率で予防に十分な免疫力を得ることができます。

1978年(昭和53年)から乳児に対する麻疹ワクチンの定期接種が始まり、2006年(平成18年)から乳児期と就学前の2回接種が開始されました。2008~2012年には、中学1年生、高校3年生にも免疫強化のための一時的な追加の定期接種が実施されています。

2回接種がなされていれば感染することはほぼないと考えますが、2000年(平成12年)4月1日生まれ以前の方は定期接種は1回のみであったため免疫力が十分ついていない可能性があります。



ではワクチンを接種したことがないご高齢の方はどうかというと、実はあまり心配する必要はありません

先に述べたように麻疹ウイルスは非常に伝染力の強いウイルスです。

そのため、こども時代にほぼ感染しており、自然に免疫を獲得していることがほとんどだと考えられています。

一番注意が必要なのは、麻疹の定期接種がはじまり麻疹が一般的な感染症ではない時代に産まれ、ワクチンを2回接種していない年齢層と考えられます。


2011年の流行の際は感染者の約半数が15~40歳の若年層でしたので、約10年後の今でいうと25~50歳前後の方は注意が必要かもしれません。

1回でもワクチンを接種している場合は感染しても「修飾(しゅうしょく)麻疹」といって軽い症状で済む場合もありますが、それでも数日間の高熱は覚悟する必要があります。

免疫を持っているか確認するための抗体検査(自費)をすることもできますが、抗体検査は免疫を反映する一つの指標でしかなく、抗体価が高いから必ず感染予防できる、低いから感染しやすいとも限りません。

大切なのはワクチンを2回接種していることと、感染予防をすることです。

人ごみや、密閉された環境に行く際はマスクを着用する、その後手洗い、うがいをするなど感染予防を心がけましょう。

1回しか麻疹ワクチンを接種していない場合は、追加の接種をおすすめします。母子手帳があれば確認しましょう。

2回ワクチンを接種している場合は追加接種をする必要はありません。

こわいからと言ってむやみに接種することはせず、本来接種すべき乳児、児童のためのワクチンの流通をひっ迫させないようにしましょう。

2回接種する人(子供たち)が増えることで、自分に感染するリスクも減らすことになります!