閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
CONSULTATION
こんな場合はご相談ください
- 日中の眠気、居眠りで困ることがある。
- いびきや、睡眠中の呼吸がとまることを指摘される。
- 夜間の眠りが浅く、しばしば目が覚める。
- いくら寝ても朝に疲れがとれない。
- 朝起きるとよく頭痛がする。
- 肥満傾向がある。
- 高血圧がある。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)とは
閉塞性無呼吸症候群(OSAS:オーサス)とは、上気道の閉塞により睡眠中に繰り返し呼吸が止まる疾患です。睡眠時無呼吸症候群(SAS)にはほかに中枢型がありますが、95%がこの閉塞性無呼吸症候群になります。呼吸が止まっても身体は睡眠を続けますが脳は目覚めている状態となり、質の良い睡眠がとれず日中の眠気につながります。また、身体が低酸素の状態かつ不要な二酸化炭素がたまることにより、様々な臓器、組織に悪影響を及ぼします。肥満傾向のある40~60歳代の男性に多く、女性では閉経後に増加します。
いびきについて
いびきは、睡眠中に空気の通り道である「のど」が狭くなり、そこを空気が通るときにのどの壁が振動することによって生じる音です。そのため、いびきをかいているということは、気道が狭くなっていることを意味します。いびきが目立つ場合は睡眠時無呼吸を起こしている可能性を考えた方がよいかもしれません。
OSASの原因
健康な人でも、睡眠中は重力により舌や軟口蓋が落ち込み気道が狭くなります。さらに①肥満により舌が重い、②加齢などにより筋力が低下、③扁桃腺肥大、あごが後退しているなどの形態的な問題があると閉塞しやすくなり無呼吸を起こしやすくなります。また、普段から口呼吸をしていると舌が落ち込みやすくなります。日本人は顔の形態的にOSASを発症しやすいと言われています。
OSASによる健康リスク
認知機能のリスク
日中の眠気による交通事故のリスクや、集中力低下による作業ミスでの労働災害、生産性の低下が挙げられます。学生の場合、成績低下の原因にもなり得ます。また、うつ病の発症が増加することが報告されています。小児においては、良質な睡眠がとれないことで睡眠中の成長ホルモンの分泌が不足し、発育障害の原因になります。
心・血管系疾患のリスク
身体が酸素欠乏状態になることで、心臓や血管、各臓器に負担や障害が発生します。脳卒中や心不全、不整脈疾患、心筋梗塞などの冠動脈疾患が3~4倍増加することが報告されています。高血圧症、2型糖尿病の発症も2倍以上に増加します。夜間突然死の原因になる可能性があります。
検査
簡易検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われた場合、まず自宅での「簡易検査」を行います。検査会社から自宅に検査キットが届き、ご自身で装着して寝ていただきます。それにより睡眠中の「酸素濃度」「無呼吸低呼吸指数(AHI)」を測定します。検査後は検査会社に郵送で返却していただきます。
ポリソムノグラフィー検査(PSG検査)
簡易検査よりも精密な検査方法になります。簡易検査で治療方法の判断が十分つけば行う必要はありませんが、判断が難しい場合はこの「PSG検査」を行う必要があります。「酸素濃度」「無呼吸低呼吸指数(AHI)」に加え、「不整脈の有無」「脳波」「眼球運動」「筋電図」などを測定します。従来は入院して行うことが多い検査方法ですが、当院では簡易検査と同様に自宅でのPSG検査を行うことが可能です。自宅で検査を行うメリットとしては、ふだん使用している寝具を使用するため、いつもの寝方で検査をできますし、入院費用や通院時間を削減できます。デメリットとしてはセンサーが多くなるため、簡易検査と比べ手間がかかります。それでも検査会社も必要に応じサポートするため、問題なく検査ができることが多いです。入院検査を希望の場合は、紹介をさせていただきます。
治療
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
CPAP(シーパップ)という小さな装置を使用することにより、ホース、マスクを介して持続的に空気を気道に送り、塞がるのをふせぐ治療法です。それにより睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、症状の改善が期待される治療効果の高い方法です。検査の結果により健康保険の適応になります。
生活習慣の改善
肥満が原因の場合は減量により改善する可能性があります。また、アルコールはのどの筋肉をゆるめ閉塞しやすい状態を起こしやすいため、お酒を控えることが望ましいです。重力の影響をできるだけ受けないよう、体を横向きにして寝ると症状が軽減する場合があります。
よくあるご質問
検査の費用はどのくらいですか?
簡易検査は3割負担で2,700円、ポリソムノグラフィー検査は3割負担で11,250円程度の費用がかかります(別途診察料あり)。 病院により異なりますが、入院でのPSG検査は2.5万~4万円程度かかることが多いです。
CPAP療法の費用はどのくらいですか?
診察料等含めて、3割負担で1か月約5,000円程度になります。保守、メンテナンスの費用も含まれます。CPAP療法を受けるためには定期的な通院が必要になります。
CPAP療法以外の治療はありますか?
マウスピースを就寝中に装着し、下あごを前方に固定して空気の通り道を確保するという治療法があります。適応と判断した場合は歯科に紹介をさせていただきます。また、気道閉塞の原因がアデノイド肥大、扁桃肥大による場合は手術で取り除くことで無呼吸が改善する場合があります。
他の病院でCPAP療法を受けていますが、転院することはできますか?
可能です。よろしければ情報提供書(紹介状)を現在の病院で作っていただき、お持ちください。もし紹介状の作成が難しい場合は、当院で再度検査をさせていただく場合がございます。現在当院で採用しているCPAPメーカーは小池メディカル、帝人、フィリップスになりますが、他社のメーカーを使用されている場合もご相談ください。